明日 風になろう

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サクラと冷たい風と

全国的にポカポカ陽気が続いていて、関東でも一気に桜の開花が進んでいる。
すでにあちこちの公園などで満開になっているようだし、今日は天気も良かったのでお花見に出かけられた方も多いのではないだろうか。我が茅ヶ崎の自宅周辺でも、古い教会のそばに大きな桜の木があり、ちょうど今日あたりが満開になっているようだ。

僕は実はずっと桜に対してはあまり関心がなく、どこが満開とか特に気にもしない人生を送ってきた。花見に出かけた記憶もない。どちらかと言えば夏のひまわりの開花の方が気になる人間で、通勤途中に他人様の家のひまわりの成長を図々しく覗き見しながら通ったりしていた。

でも45歳を過ぎたあたりからだろうか。自分でも意外と思うくらいに、桜の存在感を意識するようになった気がする。
それは恐らく自分の人生の転機と、桜の開花の時期が偶然にも重なったせいかもしれない。

2010年の今頃、僕はまさに45歳で、長く務めた会社を辞めて自分のビジネスを立ち上げたばかりだった。スタートはとても好調で、自宅から自分の店まで毎日自転車を走らせる途中に大きな桜の木があり、満開に咲き誇るその姿を見ながら自分も負けてなるものかと、毎日元気をもらいながら通り過ぎたのを覚えている。

その3年後の同じ時期、僕は自営業を畳み、離婚を決めて、一人で生きていくための仕事を探し続ける毎日を送っていた。若いころと違い、いくら応募しても面接にまでたどり着く企業は数えるほどしか無い。僕は何もすることがない時間にイライラしながら、図書館に行って資格を取るための勉強をしたりしてやり過ごすしかなかった。

そんな3月の終わりに、いつもの様に自転車で移動していると、途中の川沿いの道の桜が満開になっていた。その未舗装の道はいつもは通らない道なのだけど、なぜだか満開の桜に引きつけられて、僕は自転車をそちらへ向けた。

風はまだ冷たく、その風に花びらがハラハラと舞っている。その日は平日で、まだ陽も高い時間だったから花見などしている人もいない。他に誰もいないその満開の桜並木の下に、僕は一人で立っていた。

見上げた頭上の隅々まで、視界のすべてが桜の花で埋めつくされていた。
そしてその花をつけている数々の枝が、風に吹かれてゆっくりと揺れている。その揺れる波の中から、絶えることなく薄桃色の花びらが音もなく降り続く。

僕はその圧倒的な景色の下で、どれだけだかわからないくらいの時間、黙って立ちすくんでいた。
そして、人生のどんなシーンにおいても桜は平等に咲くのだな、と何故そんなことを思ったのかわからないことを考えていた。

今思えばかなり精神的にまいっていた頃だったはずで、僕は桜がまるで雲のように広がるその場所に、本能的に癒やしを求めて辿り着いたのかもしれない。
春が来ない冬はないし、朝が来ない夜もない。
そう信じていたい持期でもあったからこそ、大きな桜に包まれていたかったのかもしれない。

今年も桜の季節が訪れて、相変わらず花見に行く予定も行くつもりもないけれど、風に舞う花びらを見るたびにあの風が冷たい晴れた日のことを思い出す。

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